ドクターからの声doctor's voice

今や健康診断や人間ドックでも「鼻から」
検査方法は選べる時代です

医療法人社団 出雲中央クリニック
理事長 宮脇 哲丸 氏
医療法人社団 出雲中央クリニック 理事長 宮脇 哲丸 氏

胃がんは、日本人がかかりやすいにもかかわらず、検診を受ける人が少ないと言われていますが、受診しない理由の一つとして挙げられるのが、内視鏡検査のときに多くの人が経験するオエッという嘔吐感です。

そのような中、患者にやさしい検査として需要が拡大しているのが経鼻内視鏡検査です。利点は身体への負担が少ないこと。使用する内視鏡スコープの直径はわずか5.9ミリと鉛筆ほどの太さです。鼻からの挿入に適したしなやかさで無理なく挿入できますし、舌の根元に触れないために咽頭反射が起きず、オエッとすることがほとんどありません。

「痛くない」「怖くない」という受診者の評価から「これなら毎年受けてもいい」という声が多くなっています。

現在、一般的な胃の検査方法として定着しているのは、1次検査でバリウムによるX線検査、精密検査が必要な場合に2次検査として内視鏡検査を受けるという流れですが、いま、健康な人たちが受診する1次検査(=スクリーニング)の検査方法として、経鼻内視鏡を採用している医療機関が増えています。

胃がんは早期発見・早期治療がきわめて重要ですが、健康な人が苦痛のある検査を受けるのは抵抗があり、お年寄りや体の不自由な方の中にはバリウムがうまく飲めないとか、検査中のローリングが辛いということからX線検査が苦痛だとおっしゃる方もいらっしゃいます。

今や自分に合った検査方法を選べる時代です。どうせ受けるなら心身ともに負担の少ない検査がいいと誰もが思うはずです。経鼻内視鏡はもともと、口からの検査の苦痛をなくしたいという思いから開発された経緯があります。治療や大きな処置はできませんが、苦痛が少ないので、健康な人でも年に一度くらいなら受けてもいいと思える検査といえるでしょう。

ひとつでも多くの早期発見が進むために健康な人たちが気軽に受診できるよう、これまで以上に胃がん検診の分野で広がっていくことを期待しています。